うつ病とは
抑うつ気分(気分が落ち込んでいる、ふさぎこんでいる、何となく悲しい)や意欲の低下、さらには死にたいという気持ちが持続してしまっている状態をうつ病と言います。
気分の落ち込みというのは、誰しもが経験するものです。ただ抑うつ障害にあると、落ち込みの状態は長期間続き、その間というのは自分の好きなことであってもやる気が起きません。つまり気分転換もすることなく、次第に仕事や家事などに手がつかなくなって、やがて日常生活に支障をきたすようになります。このような一日中落ち込んでしまっている状態が2週間程度続くという場合は、うつ病の可能性がありますので、心当たりがあれば当院を一度ご受診ください。
うつ病の患者様によく見受けられる症状
気分が落ち込んでいる、イライラする、やる気が起きない、食欲がない、眠れない(早朝に目が覚めてしまう)、頭痛、肩こり、人に会いたくない など
うつ病の原因
発症の原因に関してですが、現時点では特定されていません。ただ脳の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの分泌が異常をきたし、そこに遺伝的要因(うつになりやすい体質)やストレス、体の病気、環境の変化が加わるなどして発症するのではないかと言われています。
なお発症しやすいタイプとして、責任感が強く、真面目な人のほか、家族歴など遺伝的要因も挙げられます。発症しやすい世代としては若年層が多いとされていますが、実は思春期~老年期まで世代は幅広く、近年は中高年世代も少なくないと言われています。また男女比では、女性の方が患者数は2倍程度多いと言われています。
躁うつ病とは
双極性障害とも呼ばれ、抑うつ状態と躁状態という両極端な症状が現れるという、こころの病気です。躁状態の程度によって、双極Ⅰ型障害(周期的に躁状態とうつ状態を繰り返す)、双極Ⅱ型障害(期間が短い軽度の躁状態とうつ状態を繰り返す)に分けられます。
そもそも躁状態とは、非常に元気がみなぎっている状態で、精力的な活動がみられるようになります。具体的には、何にでも興味をもち、意欲的かつ開放的になっています。ただ、あまりにも元気過ぎて、周囲に迷惑がかかること(散財して借金をする、気が大きくなって目上の人に命令してしまう など)がよくあって、日常生活にも支障をきたすようになるほか、本人が病気であるという自覚もありません。具体的には、以下のような症状がよくみられます。ちなみに抑うつ状態というのは、うつ病でみられるものと同様です。
躁状態の際によくみられる症状
じっとしていられない、話が止まらない、アイデアが次々と浮かぶも最後までやり遂げられない、根拠はなくても自信に満ちあふれている、睡眠時間が短くても元気でいられる、買い物をたくさんしてしまう、ギャンブルに大金を注ぎ込む など
このように躁うつ病は、上記の2つの状態が繰り返されるわけですが、発症の原因は完全に特定されたわけではありませんが、脳内の神経伝達物質が変化することで起きるのではないかと言われています。またストレスが発症の引き金にはなるとされていますが、それが必ずしも原因であるとは限りません。
なお症状の一つとして、抑うつ状態もみられることから、うつ病に似た病気と思われるかもしれませんが、精神医学では全く別の病気として扱われています。そのため治療法も異なります。例えば、うつ病の患者様には、抗うつ薬が用いられますが、抑うつ状態にある躁うつ病の患者様に使用したとしても抑うつ状態を解消できないばかりか、躁状態が突然現れる(躁転)こともあります(躁うつ病の患者様には気分安定薬や抗精神病薬が用いられます)。